『真のキリスト教 上巻』が刊行されました

スヴェーデンボリ出版より、待望の新刊『真のキリスト教 上巻』が、スヴェーデンボリ出版から10月16日に刊行されました。

上巻のみでも850ページもある大作です。これまでにこの著作は、柳瀬訳(1955年、Swedenborg Foundation)と長島達也訳(1988年、アルカナ出版)からの2種類の和訳が刊行されており、今回の鈴木泰之訳は第3の翻訳書となります。

ラテン語原典からの翻訳であることは当然ながら、これまでの訳業をさらに推し進め、より原典に忠実な和訳書となっています。

この出版を記念して、SPSCでは訳者による記念講演会と祝賀会を主催し、多数の方々のご参加をいただきました。

なお、下巻については来年の春に出版予定で、現在、組版および校正作業を進めています。

原典勉強会『原典を読もう』のご案内

SPSCでは「めざすもの」として、いろいろな取り組みを計画しています。その一つには「勉強会」を開くことも視野にあります。その最初のものとして以下の要領で『原典を学ぼう』を企画しました。

まったくの初心者、しかし、原文を読んでみたい、その息吹を少しでも感じたい、という人を対象としています。最初はともかく「慣れる」ことを主目的としています。すすんでご参加ください。

期日: 7月5日(日)午後2時~4時(これ以前にジェネラルチャーチ東京の勉強会があります)
場所:タワーホール船堀405号室(地下鉄新宿線、船堀駅前)
内容:①ラテン語全般(文字・発音など)
②ラテン語の文章とは(英語との違い・句読法))
③品詞
④「例文」から学ぶ(付記参照)
⑤質疑応答(質問は随時可)
初心者からある程度学んだ方まで幅広く対応するつもりです、堅苦しい内容は決して考えていません。ラテン語にこだわらず、スヴェーデンボリを学ぶ上で有益なものを目指しています。

付記:
①ラテン語の予備知識は不要(ただし、スヴェーデンボリの原典がラテン語で書かれているという知識、中学・高校程度の英語は学んでいることは前提とします)。
②テキストとして原典対訳No.1『スヴェーデンボリの印象的なことば』使用。(お持ちでない方には当日も用意しますが、できれば事前に購入し、予習しておいてください)
③テキストからの例文は「1」(文とは何か)「120」(簡単なもの)「143」(摂理と幸福)「187と193」(役立ちと幸福)「VCR3」(最後に勉強会 の締めくくりとして)。
これらの「例文」を取り上げますので、予習として事前に最低3回は原文に目を通しておいてください(できれば、訳文と照らし合わせて10回、すると、おぼろげながら読めてくるでしょう)。
④講師はSPSC事務局員であり、数々の翻訳を出版している鈴木之が担当します。参加費は1,000円で、受講者には新刊『原典対訳 霊魂と身体の交流』を贈呈します。

訳語・用語の研究ーBishopの訳語は? Swedenborgの名前は?スヴェーデンボリ

Bishopの訳語は?

私たちは「主教」  これは訳語というよりも用語、またラテン語でなく英語の問題です。  『コロニス』(『真のキリスト教の増補』)の17番に、人間に「頭」「身体」「足」があるように教会にも三つのものがあると書かれています。すなわち、Prima、Antistites、Faminesです。ジェネラルチャーチでもこれを取り入れており、それぞれ英語でBishop、Paster、Ministerとしています。
さてbishopは〖プロ〗監督、〖ギ正教・英国国教〗主教、〖カト〗司教…〖仏教〗僧正とあります。これ以外の新しい訳語をつくることも考えられますが、従来の訳語を使うのが普通でしょう。さて私たちはどの訳語を用いればよいでしょうか。もう少し説明すれば、プロテスタント教会では従来「監督」を使っていましたが、今では一部の派を除いて使われなくなりました。聖職者の間の階層制度をなくしたのが主な理由です。それで、牧師を任命できる権限としての監督はなくなり、今では聖職者会議の議長がその任にあたっているようです。
新教会は最初イギリスで発生したこともあって、そこでは英国国教会[聖公会]の様式を多々取り入れています。すなわち、ジェネラルチャーチでも祭壇を設け、ひざまずいて祈るなど行なっています。それで、その聖職者の名称としては「主教」がふさわしいものとなります。なお、司教はカトリックで使われている言葉なので、これとは別とした方がよいでしょう。
(このことはここで出版する『新教会の特殊性』の著者デ・チャームズ主教の「主教」について説明しておくのがよいと思ったからです、なお日本でジェネラルチャーチが広まったのは「アルカナ出版」が設立されてから1990年に6代目のキング主教が来日したあたりからです)

 Swedenborgの名前は?スヴェーデンボリ  

従来、スウェーデンボルグが使われていました(今でも)。だれが、いつ使い始めたか、私は知りません。ただ、その根拠は「英語読み」からでしょう。というのは、ヨーロッパ言語では「w」は通常「ヴ」と発音するからです。それで国名スウェーデンは正しく発音すればスヴェーデンです。  さて、地名や人名は現地音で現わすようになって久しいです、例えば地名「ヴェニス」は「ヴェネツィア」、人名「モハメッド」は「ムハンマド」などなど。

(鈴木泰之)『SPSC会報』第7号に掲載