訳語・用語の研究ー「内部・外部」を意味する言葉について

「内部・外部」を意味する言葉について

スヴェーデンボリ著作の読者は「内的な」と「内なる」の言葉の区別をどう理解されているでしょうか? 柳瀬訳は英訳に基づいて厳密な使い分けをしています。スヴェーデンボリ出版でも厳密に使わけをしています。

スヴェーデンボリは「段階の相違」を表わすために三つの言葉を使用しています。その有名なものは「天的」「霊的」「自然的」の三段階です。ここでは内部と外部の三段階を述べます。

ものの内部にも外部にも三段階あり、平たく言えば内部に向かって①内側 ②内部 ③最内部があり、外部に向けても①外側 ②外部 ③最外部です。このままでもよいのですが、著作ではこれらを次の形容詞で訳してあります。
① 内的な(interior) ② 内なる(internus) ③ 最内部の(intimus)
① 外的な(exterior) ② 外なる(externus) ③ 最外部の(extremus)
英訳ではそれぞれ① interior ② internal ③ inmost と① exterior ② external ③ outmostです。

この違いのしっかり頭に入れて読めば、著作の理解が深まるかと思います。

なお、interior homoは「内的な人間(人)」、innternusは「内なる人」であり、この違いについては『天界の秘義』1594:5番をお読みください。1702:2番も参照。

よくつかわれる「内意」は原語で sensus internus であり、このままなら「内なる意味」ですが、これを簡略して「内意」と訳しています。

このような言葉が著作のどこに定義されているか、知りたいと思う読者が多いかと思います。それで現在、スヴェーデンボリ自身の定義による『用語集』に取り組んでいます。ある理由から来年にはぜひ出版したいと願っています。

(鈴木泰之)『SPSC会報』第4号に掲載